古民家は格安で物件が手に入りますし、補助金等の制度も充実していることから購入を考えている人も多いでしょう。
魅力的なことに数百万円の物件や、無料で手に入る物件も少なくありません。
安く購入して、簡単なリフォームをすれば格安でおしゃれな家が手に入ると思っている人も多いみたいです。
しかし、価格だけで物件を選んでしまうと結果的に損する可能性もあるんです。
今回は古民家購入で損しないための選び方をご紹介します。
■価格で選ぶと失敗する理由
古民家購入を考えたとき、価格に注目しますよね。しかし、低価格の古民家が必ずしもお得な物件であるとは限りません。特に「0円」や「格安」の物件は、一見すると魅力的に思えるかもしれませんが、多くの場合、以下のような隠れたコストが伴います。
1. 大規模な修繕が必要
0円や格安で売り出されている古民家は、大きな修繕が必要な場合があります。たとえば、屋根や基礎、柱などの木材が腐っている場合、これらを修復するための費用は数百万円から数千万円になります。さらに、老朽化した電気や水道設備の取り替えも必要になるでしょう。
2. 耐震性の問題
古民家は昔ながらの雰囲気が魅力的ですが、現代の耐震基準を満たしていません。これを改修するためには、補強工事が必要で、これもまた高額な費用がかかる可能性があります。
工事の内容によっては2000万円ほどかかることもあります。
3. 法的な制約
文化財指定されている古民家の場合、リノベーションにはさまざまな制限が伴います。このような制約により、改修作業が複雑かつ高額になることがあります。
■実際にあった事例
たとえば、ある家族が「0円」の古民家を手に入れた事例です。見た目は魅力的で広大な敷地の物件でしたが、実際には屋根の全面改修、耐震補強、そしてアスベストの除去が必要となり、総費用は新築一戸建てを建てるのと同等以上になりました。最終的には総額で約2000万円以上の費用が必要となりました。
リフォームのローンは住宅ローンとは異なっており、金利は高く、借入年数も最大15年と短くなっております。
■0円より1000万円の古民家を選べ
古民家の購入を検討する際、初期投資額として0円の物件と1000万円の物件があった場合、多くの人は0円の物件に心惹かれがちです。
しかしリノベーションの観点から見ると、1000万円の物件が経済的に理にかなっていることが多いのです。
これから詳しく説明していきます。
■購入後のコストを考える
0円の古民家の魅力は、明らかに「無料である」という点です。しかし、これらの物件は多くの場合大規模な修繕が必要であり、そのコストは新築の物件を購入するのと同等の価格になることがあります。一方、1000万円で販売されている古民家は、価格の魅力はないものの、いくつかのメリットがあります。
改修済みの可能性:
高価な物件はすでにある程度のリノベーションが施されている場合が多く、簡単なリフォームで住み始めることが可能です。
構造的に安定:
高額な物件は、構造的にもしっかりしていることが多く、耐震補強などの基本的な安全措置が施されていることがあります。
物件の腐食がほとんどなく、補強工事が必要ない物件は高額になる傾向があります。
将来的なメンテナンス費用の削減:
価格が1000万円を超える古民家は、将来的に必要となるメンテナンスの頻度と規模が小さくなります。
古民家のセルフリノベーションについて、プロに任せる工事と自分たちでできる工事について書いてある記事があります。こちらも併せて参考にしてみてください。
【素人】古民家リノベーション、DIYでできることプロに任せるべきとこ
■実際の事例
例えば、千葉県に位置する築100年の古民家を1000万円で購入した一家のケースを見てみましょう。この物件は過去に大規模なリノベーションが行われており、追加の修繕が必要とされる範囲は非常に限定的でした。具体的には、内装の一部更新と庭の手入れだけで済み、これらの費用は全体で約200万円でした。
対照的に、地域内の0円古民家を購入した別の家族は、基礎の全面的な補強、屋根の修理、そして内装の全面的な更新に最終的に3000万円を超える費用がかかりました。
■私の家の場合
我が家も1000万円の物件を購入しました。状態としては数年前に瓦の葺き替えがされていたり、木材の腐食が全くない状態でした。
広い家ということもあり改修工事が必要になれば数千万円の費用がかかったと思います。
自分たちも格安の物件を探していたのでゾッとします。
ただ、それでも格安の古民家がほしい人もいると思いますので、0円で古民家をもらう方法についての記事を参考にしてみてください。
■失敗しない古民家の選び方、見るべきポイント
古民家を選ぶ際に考慮すべき重要な要素はいくつかが、その中でも特に重要なのが建物の構造的健全性、特に木材の腐食状態です。以下のポイントに注意しながら、安心して長く住める古民家を選びましょう。
1. 構造の確認
基礎の状態: 基礎にひび割れや沈下がないかをチェック。
屋根と外壁: 屋根や外壁の材質と状態を詳細に調査。
耐震性: 耐震診断の有無や耐震補強の必要性。
2. 木材の腐食の状態
柱や梁の点検: 主要な支持構造である柱や梁に腐食や虫害の兆候がないかを確認します。特に、床下や屋根裏など見過ごされがちな部分に注目しましょう。
窓枠や戸枠の状態: 木製の窓枠や戸枠は水漏れ等により腐食しやすい部分です。これらの部分の腐食が進んでいないか、補修の跡がないかをチェックします。
防腐処理: 過去に木材の防腐処理が施されているか、またその状態が現在も問題がないかどうかを確認します。リフォーム業者に確認してもらうこともおすすめです。
3. 場所の選定
アクセス: 都市部やサービス施設へのアクセスは便利か。
自然環境: 地域の自然リスクを確認し、過去に大規模な自然災害の影響を受けた地域かどうかを調べましょう。
4. 隣地の雰囲気
プライバシー: 隣家との間に適切な距離があるか。
隣地の利用: 隣地が農地や住宅地など、将来の計画に影響を及ぼさない用途で使用されているか。
景観: 周辺の景観が古民家の価値を損なうことなく、むしろその魅力を高めるものであるか。
古民家を選ぶ際は、一見すると小さな詳細も将来的に大きな影響を及ぼす可能性があるため、全体的な構造や木材の状態に特に注意を払うことが重要です。詳細な調査と専門家の意見を参考にしながら、安全かつ魅力的な古民家を選択しましょう。
田舎暮らしにおすすめの地域をまとめた記事も一緒にチェックしてみてください。
■まとめ
0円や格安の古民家には大規模な修繕が必要な場合が多く、耐震性の問題や法的な制約が伴うことがあります。
0円の物件は修繕に新築と同等かそれ以上の費用がかかることがあるため、初期の安さに惑わされず全体のコストを考える必要があります。
高価な物件はすでにリノベーションが施されており、耐震補強や基本的な安全措置が整っていることが多いです。将来的なメンテナンス費用の削減も期待できます。
建物の構造や木材の状態を詳細にチェックすることが重要です。また、アクセスの良さ、自然リスク、隣地の雰囲気や景観も評価の対象とします。
古民家選びにおいては、表面的な価格や外見だけでなく、全体のコスト、構造の健全性、将来のリスクを総合的に評価することが大切です。