■民家特有の構造と床の断熱の必要性
古民家は日本の伝統的な建築様式で、多くは木造の高床式住宅です。この構造は、床下に空間を作ることで通気性を確保し、湿気を防ぐ効果があります。しかし、冬の寒さ対策には弱点があり、特に床下からの冷たい空気が室内に入りやすいです。
例えば、冬の平均気温が0℃の地域では、床下からの冷気が直接床に伝わり、室温が10℃以下になることもあります。こういった環境で快適に過ごすためには、床の断熱が役立ちます。
これから床の断熱について詳しく紹介していくのでぜひ参考にしてください。
■床断熱の基本的な考え方
床断熱は、床に断熱材を設置することで、外からの冷たい空気をシャットアウトし、室内の暖かさをキープできます。以下に、床断熱の具体的な効果とその安全性について説明します。
断熱材の設置
断熱材は、床に敷いたり床板の裏に貼ったりすることで効果を発揮します。例えば、厚さ50mmのグラスウールを使うと、熱の伝わりを0.035W/mKまで抑えることができます。
具体的に、床面積が50平方メートルの古民家にこの断熱材を使う場合、費用は約4万円から6万円ほどです。断熱材を使うことで、冬場でも床からの冷気が入りにくくなり、室内がもっと暖かくなります。
例えば、断熱材を設置することで、冬の室温が5℃上がり、暖房を使う頻度が減ったという実例もあります。これにより、暖房費の節約にもつながります。初期費用はかかりますが、断熱材を設置することで快適さが増し、長期的には省エネ効果も期待できるので、価値のある投資と言えるでしょう。
また、断熱材の設置は比較的簡単で、自分で取り付けることも可能です。DIYが好きな人にとっては、自宅の快適さを向上させる良いプロジェクトになるでしょう。
暖房費の節約
床断熱を選ぶことで、室内の温度を一定に保つことができ、暖房費の削減にもつながります。例えば、冬に毎月1万円かかっていた暖房費が、床断熱を施した後には8000円に減ることもあります。これを年間で考えると、2万円以上の節約になる計算です。
さらに、床断熱の効果はそれだけではありません。室内の温度が安定することで、住み心地が格段に良くなります。冷たい床に足を踏み入れることなく、暖かい室内で快適に過ごせるようになります。
床断熱材の種類も豊富で、グラスウールや発泡スチロール、ポリウレタンフォームなどがあります。それぞれに特徴があり、予算や目的に応じて選ぶことができます。例えば、厚さ50mmのグラスウールは、断熱性能が高く、コストパフォーマンスに優れています。
設置方法も簡単で、DIYで取り付けることも可能です。床に敷いたり、床板の裏に貼ったりするだけで効果が期待できます。断熱材の費用は4万円から6万円程度ですが、長期的な暖房費の節約と快適な住環境を考えると、非常に価値のある投資です。
床以外の断熱の費用に関してはこちらの記事をチェックしてみてください。
住環境の改善
床断熱をすることで、床が冷たく感じなくなり、より快適な生活空間を保つことができます。特に、子供や高齢者がいる家庭では、床断熱は健康にも大きな影響を与えます。
例えば、床断熱をしていない場合、冬の床の表面温度は5℃程度まで下がることがあります。このような冷たい床は、寒さを感じるだけでなく、体温の低下や風邪を引く原因にもなります。しかし、床断熱をすることで、床の温度が室内の温度に近づき、冷たさを感じなくなります。
具体的には、断熱材を設置することで、床の表面温度が元の5℃から15℃程度に上昇します。これにより、足元が暖かく感じられ、室内全体の温度も一定に保たれます。結果として、暖房費の節約だけでなく、快適な住環境が実現し、家族全員が健康に過ごせるようになります。
さらに、床断熱材にはさまざまな種類があり、グラスウールや発泡スチロール、ポリウレタンフォームなどが選べます。予算や目的に応じて適したものを選び、設置することができます。自分で簡単に取り付けることもできるので、DIYが好きな方にはおすすめです。
初期費用はかかりますが、長期的には暖房費の削減や健康維持に繋がるため、床断熱は非常に価値のある投資と言えるでしょう。
■床断熱の種類と選び方
断熱材の種類とそれぞれの特徴
グラスウール
価格: 1平方メートルあたり約800円〜1,200円
特徴: グラスウールはガラス繊維で作られており、防火性が高く、比較的安価です。断熱性能も良く、コストパフォーマンスに応じて。例えば、床面積が50平方メートルの古民家にグラスウールを使用する場合、材料費は約4万円から6万円になります。
事例: Aさんは古民家の床面積が60平方メートルでグラスウールを使いました。材料費は約48,000円から72,000円でした。
発泡スチロール
価格: 1平方メートルあたり約1,500円〜2,000円
特徴: 発泡スチロールは軽量で施工が簡単です。断熱性能が高く、水に強いため湿気の多い場所も適しています。例えば、床面積が50平方メートルの古民家に発泡スチロールを使用する場合、材料費は約7万5千円から10万円になります。
事例: Bさんは床面積が45平方メートルの古民家に発泡スチロールがあれば、材料費は約67,500円から90,000円でした。
セルロース
価格: 1平方メートルあたり約2,000円〜3,000円
特徴: セルロースファイバーはリサイクル紙を原料としたエコフレンドリーな断熱材です。優れた断熱性能と音響効果があります。例えば、床面積が50平方メートルの古民家にセルロースファイバーを使用する場合、材料費は約10万円から15万円になります。
事例: Cさんは床面積が55平方メートルの古民家にセルロースファイバーがあれば、材料費は約110,000円から165,000円でした。
ウレタンフォーム
価格: 1平方メートルあたり約3,000円〜4,500円
特徴: ウレタンフォームは非常に高い断熱性能と気密性を持ち、長寿命です。吹き付け施工により、隙間なく断熱材を充填できます。例えば、床面積が50平方メートルの古民家にウレタンフォームを使用する場合、材料費は約15万円から22万5千円になります。
事例: Dさんは床面積が40平方メートルの古民家にウレタンフォームがあれば、材料費は約120,000円から180,000円でした。
■DIY vs プロに依頼:それぞれのメリット
DIYのメリット
コストが抑えられる: 施工費用を節約できます。例えば、床面積50平方メートルの古民家の場合、DIYなら材料費だけで済み、約4万円〜6万円に抑えられます。一方、プロに依頼すると、同じ面積で15万円〜20万円の費用がかかります。
自由に作業可能: 自分のスケジュールに合わせて作業を進めることができるため、柔軟性があります。たとえば、週末に少しずつ作業を進めることができます。
DIYのデメリット
耐久性や技術が必要: 断熱材の取り扱いや正しい施工方法がわかっていないと、効果がない可能性があります。例えば、断熱材を適切にカットできないと、隙間が生じて断熱効果が悪くなります。
施工ミスのリスク: 施工ミスによって、断熱効果が下がり、後で修正されることがあります。例えば、断熱材の不均一だと、床面の一部が冷えることがあります。
プロに依頼するメリット
確実な施工: プロは経験豊富で、確実に断熱材を適切に設置できます。例えば、施工業者は断熱材のカットや配置に熟練しており、隙間なく施工してくれます。
保証がある場合が多い: 施工に保証が付くことが多いため、問題が発生しても安心です。例えば、3年〜5年の保証期間が一般的です。
プロの依頼するデメリット
コストが高くなる: 施工費用を追加するため、DIY よりも高額になります。例えば、床面積 50 平方メートルの工事で、プロに依頼すると約 15 万円〜20 万円の費用がかかります。
その他、プロに依頼すべきリノベーションについてはこちらの記事に詳しく書いているのでチェックしてみてください。
【素人】古民家リノベーション、DIYでできることプロに任せるべきとこ
■断熱費用を抑えるための工夫
助成金と補助金の活用
自治体や国の補助金を活用することで、断熱工事の費用を削減することができます。以下に具体的な例を示します。
国の補助金
断熱リフォーム補助金: 断熱材や窓に対して、最大で50万円の補助金が支給されます。
エコリフォーム助成金: 古民家の断熱性能を向上させるリフォームに対して、工事費用の30%(上限60万円)が補助されます。
・自治体の補助金
例えば、断熱改修助成金は、断熱材や二重窓の設置に対して、工事費用の50%(上限30万円)が補助されます。
大阪市の「エコリフォーム助成金」は、最大20万円の補助が受けられます。
具体的な例として、床面積50平方メートルの古民家で断熱工事を行う場合、総費用が30万円であると仮定します。国や自治体からの補助金を活用することで、最終的には自己負担額は次のように抑えられます。
・断熱リフォーム補助金
50万円の補助が受けられる場合、30万円全額が補助対象となり、自己負担額は0円。
・エコリフォーム助成金
工事費用の30%(30万円×0.3=9万円)が補助され、自己負担額は21万円。
・東京都の断熱改修助成金
工事費用の50%(30万円×0.5=15万円)が補助され、自己負担額は15万円。
・大阪市のエコリフォーム助成金
最大20万円の補助が受けられるため、自己負担額は10万円。
中古の断熱材の利用
リサイクルショップやオンラインマーケットプレイスで中古の断熱材を購入することで、コストを削減できます。
新品のグラスウールの価格: 1平方メートルあたり約1,000円。
中古のグラスウールの価格: 1平方メートルあたり約500円。
50平方メートルの床面積を断熱する場合、グラスウールを使用する新品では50,000円かかりますが、中古のものを使用するには25,000円に抑えられます。つまり、約50%のコスト削減が可能です。
自分でできる断熱工事の方法
DIY で断熱工事を行うことで、施工費用を削減できます。以下に具体的な手順と費用を紹介します。
床下の清掃と準備
必要な道具: 掃除機、ホウキ、雑巾(合計約5,000円)。
作業時間: 2〜3時間。
断熱材のカットと設置
必要な道具: カッター、メジャー、定規(合計約3,000円)。
作業時間: 4〜6時間。
防湿シートの敷設
必要な道具: 防湿シート(50平方メートルで約15,000円)、テープ(約500円)。
作業時間: 1〜2時間。
床材の再設置
必要な道具: 電動ドライバー、ネジ(合計約10,000円)。
作業時間: 3〜4時間。
合計費用
道具費用: 5,000円 + 3,000円 + 15,500円 + 10,000円 = 33,500円
材料費(中古のグラスウールを使用): 25,000円
合計費用: 58,500円
このように、DIYで断熱工事を行うことで、プロに依頼する場合に比べて費用を大幅に削減することができます。例えば、プロに依頼した場合、施工費用が約15万円かかるところを、DIYでは約5万8,500円に抑えることができます。これにより、約60%のコスト削減が可能です。
DIYでの断熱工事は、自分の技術と時間を活用することで、効果的に費用を抑えつつ、古民家の断熱性能を向上させることができます。
床のフローリング材に関してはこちらの記事をチェックしてみてください。
■断熱効果とその検証
断熱後の効果測定
断熱工事が完了したら、室内の温度の変化や暖房費の削減効果を測定することで、断熱効果を具体的に得ることができます。
温度変化の測定
施工前: 冬季の室内温度が朝約10℃まで下がることがありました。
施工後: 床断熱を施した後、同じ条件で室内温度が約15℃下がりました。
具体例: Aさんの古民家では、床面積50平方メートルの断熱施工前は室内温度が10℃前後だったのが、断熱後は15℃を維持する暖房。
■光熱費の削減効果
断熱工事による光熱費の目安をご紹介するので是非参考にしてみてください。
光熱費
施工前の年間光熱費:約180,000円(暖房費のみ)
施工後の年間光熱費:約120,000円(暖房費のみ)。
事例: ある古民家では、断熱施工前の年間光熱費が180,000円でしたが、施工後は120,000円に減少し、年間で約60,000円の節約ができた事例があります。
工事費用の回収期間
総投資額:材料費と施工費を合わせて約275,000円(50平方メートルの床断熱の場合)。
年間節約額: 60,000円。
投資回収期間:約4.6年(275,000円÷60,000円)。
このように、断熱材は初期投資がかかるものの、光熱の節約効果によって数年で回収可能です。さらに、快適な居住環境が得られ、断熱材はお金にも役立ちます。
■まとめ
断熱工事は将来的にも光熱費の削減につながるので、初期投資としてはおすすめです!
資金に余裕がない人はDIYでも施工はできますので是非挑戦してみてください。私もど素人ですがなんとか自分で施工ができたので、初心者でもできる工事と思います。